あの人の臨醐山黒酢レシピ Rinkosan Black Vinegar Recipe
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本題に入る前に、エプロンの胸元にある「KUWARANCA」という言葉がどうしても気になり、『KUWARANCA』って、どういう意味ですか? と聞いてみました。
「2冊目の本『僕のいたわり飯』の出版を記念して、アパレルとのコラボでオリジナルグッズを作ることになり、何か言葉を入れたいなと。何語かわからないような、どこか懐かしくてやわらかい、暮らしにまつわる言葉にしたいと思ったとき、大好きな向田邦子さんのエッセイ『食らわんか』がふと浮かんだんです。でも、いつの間にか自分の頭の中で『食わらんか』に変換されてしまっていたみたいで、思い込みって怖いですね。企画書にも思い切りそう書いて、それがそのまま通っちゃったというわけです。みんなから間違ってるってよく言われるんですけど、向田さんのグッズを作っているわけじゃないので別にいいかなと」と穏やかに笑います。
そんな話をしながら「これ、ちょっと食べてみて。黒酢とすし酢で漬けたの」と麻生さんが冷蔵庫から出してきたのが、割り干し大根の酢漬け。水で戻した割り干し大根の水けをしぼり、臨醐山黒酢7に対して特選すし酢3の割合で合わせたたれに漬けただけ。さっぱりとした味とほどよく歯ごたえのある食感が、箸休めにちょうどいいと思いながらも、箸が止まらなくなります。
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「うちは酢をよく使うんですよ。臨醐山黒酢にすし酢、米酢、そして梅酢。厳密にいえば梅酢は酢ではないですが、お弁当の唐揚げの下味に使うので年間の消費量はかなりのもの。でも、黒酢も好きなので負けず劣らず。特に暑い時期は黒酢のほうが米酢よりおいしく感じるので、使う頻度も量も増えますね。小さい瓶はすぐになくなってしまうので、大容量があると安心です」。
麻生さんが黒酢好きなのは、もともと香港が好きで、よく行っていたからだそうです。
「あちらの方たちは黒酢をよく食べるでしょ。黒酢を使ったお料理もおいしいので、中国の黒酢も買ってみたのですが、家で食べると意外に味が強いと感じてしまって。主張がありすぎて黒酢だけの味になってしまうので、これ、いつのだっけ? という感じで使い切れないままキッチンの片隅に置かれていることが多かったんです。一時期いろいろな黒酢を買っては試し、買っては試しの迷子状態でしたが、臨醐山黒酢を買ってみたら、さっぱりしているのにコクはしっかりあっておいしい。すごく使いやすくて、酢漬けにしても、煮物にも揚げ物にもちょうどよくて、愛用しております」
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特に臨醐山黒酢の力をダイレクトに感じるのは、たれとして使うときなのだとか。
「水餃子はもちろんですが、意外におすすめなのが冷凍シュウマイ。そのままチンするのは味気ないし、蒸すといかにも冷凍食品という感じが増幅されるのですが、揚げるとそれがなくなって、いい感じになるんです。それを臨醐山黒酢につけて食べるとコンビニ感も冷凍食品感もなくなって、ちょっと豊かな気持ちになるし、揚げ物なのにさっぱり食べられます」
というわけで、今回作ってくれたのは、黒酢だれでいただく揚げ豚の黒酢風味。下味にも黒酢の漬けだれを使っているので、黒酢だれのダブル使いです。
「ようは豚の唐揚げです。僕は『唐揚げの人』というポジションだと思うので」。確かに、麻生さんといえば唐揚げのイメージがあります。聞けば、子どもの頃、一番好きな食べ物はお母さんが作った唐揚げで、自分で料理をするようになってからも唐揚げが十八番。自宅に誰かが来るときにリクエストされるのも、決まって唐揚げなのだそう。坂本美雨さんも「タベタイ」という曲の中で「要一郎さんのからあげ」を自分が食べたいものとして歌ってしまうくらいです。でもそれは鶏の唐揚げの話。
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「鶏肉には梅酢ですが、中国には黒酢酢豚という名物料理があるくらい豚肉と黒酢は相性がいい。なので黒酢は豚肉で。下味に使うと短時間で味がしみこむので使い勝手がよく、黒酢の風味が後を引きます」
外はカリっと香ばしく、中はしっとりやわらか。そのままでもおいしいですが、たれをかけて”追い黒酢”をすれば、さらに後味がさっぱり。豚肉をたれに漬けるときも、片栗粉をまぶすときも、油で揚げるときも、一枚一枚丁寧にゆっくりと。穏やかな語り口と同様、麻生さんの所作ひとつひとつがゆったりとしてエレガント。それがそのまま穏やかな味に繋がっていると確信しました。
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ささっと、でもあくまで丁寧に、焼きそばを作ってくれました。具はセロリだけ。ごま油で炒め、仕上げに臨醐山黒酢をたっぷり回しかけるだけ。まろやかな味が好きならこのままで、黒酢だれをかけるとよりいっそうさっぱり爽やか。お酒を飲んだ後の〆にぴったりです。
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